GX用語解説:ノーネットロス
ノーネットロスとは
ノーネットロスとは、開発事業などによって生じる自然・生物多様性への負の影響を、同等以上の保全・再生活動で埋め合わせ、自然への正味の損失をゼロにするという原則です。ネイチャーポジティブ(自然を正味増加させる)の一歩手前にある、より基本的な考え方として位置づけられます。
結論から言えば、ノーネットロスは「自然を壊した分は、必ず取り戻す」という開発事業の基本ルールです。工場・物流拠点・発電所などの新設・拡張にあたり、開発による自然への影響を完全にゼロにできない場合でも、代償措置(オフセット)を通じて正味の損失を出さないようにする考え方として、国際的な開発融資機関などが基準として採用しています。
この記事の要点
- ノーネットロス=開発による自然への負の影響を保全・再生で埋め合わせ、正味損失ゼロにする原則。
- ネイチャーポジティブ(正味増加)の一歩手前にある基本的な考え方。
- 「回避→最小化→復元→オフセット」という優先順位(緩和ヒエラルキー)に基づき実践される。
- 国際的な開発融資機関(世界銀行グループ等)が融資基準として採用。
- 工場・物流拠点等の新設・拡張時の環境アセスメントで考慮される。
実務での使われ方
工場や物流拠点の新設・拡張を計画する企業にとって、開発予定地の自然環境への影響評価は、環境アセスメントの重要な一部です。ノーネットロスの考え方に基づけば、まず影響を回避・最小化する設計を検討し、それでも残る影響については、近隣での生態系の復元や保全活動によって埋め合わせることが求められます。
国際的な金融機関から融資を受けるプロジェクトでは、ノーネットロスの達成が融資条件になっている場合があり、海外での工場建設などを計画する企業にとっては、事前に対応方針を検討しておくことが重要です。TNFD開示においても、自然への影響と対応策の説明が求められます。
詳細説明
緩和ヒエラルキーという考え方
ノーネットロスを実践する際の基本手順が「緩和ヒエラルキー」です。第一に開発による自然への影響そのものを回避する、第二にどうしても生じる影響を最小化する、第三に影響を受けた場所の生態系を復元する、そして最後に、それでも残る影響を他の場所での保全活動(オフセット)で埋め合わせる、という優先順位で対応します。
ネイチャーポジティブとの関係
ノーネットロスが「自然への影響をゼロに抑える」ことを目指すのに対し、ネイチャーポジティブは「自然を正味で増加させる」というさらに野心的な目標です。両者は連続した考え方であり、まずノーネットロスを確実に達成し、その先にネイチャーポジティブを目指すという段階的な整理がされることもあります。
中堅企業の最初の3歩
第一に、自社の開発・拡張計画が周辺の自然環境に与える影響を評価します。第二に、緩和ヒエラルキー(回避・最小化・復元・オフセット)の順序で対応策を検討します。第三に、海外プロジェクトで国際金融機関の融資を検討する場合、ノーネットロスの要件を早期に確認します。
回避 → 最小化 → 復元 → オフセット
出典:IUCN(国際自然保護連合)
FAQ
Q1. ノーネットロスとは何ですか?
開発事業による自然・生物多様性への負の影響を、保全・再生活動で埋め合わせ、正味の損失をゼロにする原則です。
Q2. ネイチャーポジティブとの違いは?
ノーネットロスは自然への影響をゼロに抑えることを目指し、ネイチャーポジティブは自然を正味で増加させることを目指す、より野心的な目標です。
Q3. どういう手順で実践しますか?
回避・最小化・復元・オフセットという優先順位(緩和ヒエラルキー)に沿って、まず影響を減らし、残る影響を埋め合わせます。
Q4. 中堅企業に関係しますか?
工場・物流拠点の新設・拡張時の環境アセスメントで考慮され、国際金融機関の融資条件になる場合もあります。
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