GX用語解説:電炉(電気炉製鋼)
電炉(電気炉製鋼)とは
電炉(電気炉製鋼)とは、鉄スクラップを主原料とし、電気アーク熱で溶解して鋼を製造する製鋼方式です。鉄鉱石とコークスを用いて高炉で銑鉄を作り、転炉で鋼にする従来の「高炉法」と比べて、原料に鉄鉱石ではなくスクラップを使うため、製造工程でのCO2排出量が大幅に少ないという特徴があります。水素還元製鉄と並ぶ、鉄鋼業の脱炭素化を支える現実的な技術として注目されています。
結論から言えば、電炉は「新しく鉄を作るのではなく、使い終わった鉄を溶かして再び鋼にする」という発想の製鋼方式です。高炉法がCO2排出量トン当たり2トン前後とされるのに対し、電炉法はスクラップを電気で溶かすだけのためCO2排出量を大幅に抑えられ、さらに使用する電力を再エネ由来に切り替えれば、追加的な排出削減も可能になります。
この記事の要点
- 電炉=鉄スクラップを電気アーク熱で溶解して鋼を製造する製鋼方式。
- 鉄鉱石を還元する高炉法と比べ、製造工程でのCO2排出量が大幅に少ない。
- 水素還元製鉄と並ぶ、鉄鋼業の脱炭素化を支える現実的な既存技術。
- 使用する電力を再エネ由来に切り替えることで、追加的な排出削減も可能になる。
- スクラップの品質(不純物混入等)により、高級鋼材の製造には制約があるとされる。
実務での使われ方
建設・土木分野で使われる鉄筋や形鋼など、比較的品質要求の厳しくない用途では、電炉法による鋼材が広く使われています。自動車用の高級鋼板など、より高い品質・強度が求められる用途については、スクラップに含まれる銅等の不純物の制御技術が課題とされてきましたが、近年は不純物低減技術の進歩により、電炉での高級鋼材製造への挑戦も進んでいます。
建設業やインフラ関連の中堅企業が調達する鋼材について、電炉由来の低炭素鋼材(グリーンスチール)を選択することは、自社のScope3排出量削減に直接寄与する具体的な調達施策になります。
詳細説明
高炉法との排出量の違い
高炉法は鉄鉱石を還元するためにコークス(石炭由来)を大量に使用するため、製鋼工程だけで日本全体のCO2排出量の相当割合を占めるとされています。一方、電炉法は電気アーク熱でスクラップを溶かすだけのシンプルなプロセスのため、製造工程そのものからのCO2排出は高炉法よりはるかに少なく、使用電力の脱炭素化(再エネ電力の活用)を進めれば、さらに排出量を削減できる余地があります。
スクラップの需給という制約
電炉法の拡大には、原料となる鉄スクラップの安定調達が前提になります。日本は建築物・自動車の解体等から発生するスクラップの供給余地がある一方、世界的な鉄鋼需要の拡大に伴い、スクラップの国際的な争奪も強まっており、電炉シフトを進めるうえでのスクラップ確保が今後の課題になると見込まれています。
中堅企業の最初の3歩
第一に、自社が調達する鋼材(建材、部材等)が高炉法・電炉法のいずれで製造されているかを確認します。第二に、電炉由来の低炭素鋼材への切り替えによるScope3削減効果を試算します。第三に、鋼材サプライヤーに対し、電炉法・グリーンスチールへの移行計画を確認します。
高炉法:鉄鉱石+コークスで還元、CO2排出量が大きい / 電炉法:スクラップを電気で溶解、排出量が少ない
出典:日本鉄鋼連盟
FAQ
Q1. 電炉とは何ですか?
鉄スクラップを電気アーク熱で溶解して鋼を製造する製鋼方式で、高炉法と比べCO2排出量が大幅に少ない特徴があります。
Q2. 水素還元製鉄との違いは?
水素還元製鉄は鉄鉱石を水素で還元する新技術ですが、電炉はスクラップを電気で溶かす既存技術で、より現実的に脱炭素効果を得られます。
Q3. どんな鋼材に向いていますか?
建設用の鉄筋・形鋼等に広く使われており、不純物低減技術の進歩で高級鋼材への適用も進みつつあります。
Q4. 中堅企業に関係しますか?
建設・インフラ関連企業が電炉由来の低炭素鋼材を調達することで、Scope3排出量削減に直接寄与できます。
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