GX用語解説:HFCs
HFCs(ハイドロフルオロカーボン)とは
HFCs(ハイドロフルオロカーボン)とは、エアコンや冷凍冷蔵機器の冷媒、断熱材の発泡剤などに広く使用されてきた、フッ素を含む代替フロン類の一種です。オゾン層を破壊する特定フロン(CFC)・代替フロン(HCFC)の後継として1990年代以降普及しましたが、HFCs自体はオゾン層を破壊しない一方で、地球温暖化係数(GWP)がCO2の数百〜1万倍以上ときわめて高いガスであることが分かり、現在は国際的に厳しい規制対象となっています。
結論から言えば、HFCsは「オゾン層は守ったが、地球温暖化には強く効いてしまう」という皮肉な性質を持つガスです。温室効果ガス(GHG)の中でも排出量あたりの温暖化への影響が極めて大きいため、京都議定書の対象7ガスの一つとされ、モントリオール議定書のキガリ改正により生産・消費量の段階的削減が義務化されています。
この記事の要点
- HFCs=エアコン・冷凍冷蔵機器等の冷媒に使われる代替フロン。オゾン層は破壊しないがGWPが極めて高い。
- 京都議定書の対象7ガスの一つで、温室効果ガス(GHG)として排出量規制の対象。
- モントリオール議定書のキガリ改正(2016年採択)により、生産・消費量の段階的削減が国際的に義務化。
- 日本ではフロン排出抑制法により、業務用冷凍空調機器の管理者に漏えい点検・報告義務がある。
- 冷媒の自然冷媒(CO2、アンモニア等)への転換が、脱炭素と規制対応の両面で進んでいる。
実務での使われ方
業務用エアコン・冷凍冷蔵設備を保有する企業は、フロン排出抑制法に基づき、一定規模以上の機器について定期点検と漏えい量の算定・報告(SHK制度と連動)が義務付けられています。HFCsは機器の運転時だけでなく、廃棄・整備時の漏えいによっても大量に大気中に放出されるため、機器のライフサイクル全体での管理が求められます。
食品スーパー・物流倉庫・データセンターなど冷凍冷蔵設備を多用する業種では、HFCs漏えいの管理不備がGHG排出量の見落としにつながりやすく、Scope1排出量の算定においてHFCs漏えい分を計上できていない企業も少なくないため、注意が必要な領域です。
詳細説明
キガリ改正による段階的削減
モントリオール議定書の「キガリ改正」(2016年採択、2019年発効)は、オゾン層破壊物質の規制条約であったモントリオール議定書の枠組みを使って、オゾン層を破壊しないHFCsについても生産・消費量の段階的削減を義務付ける画期的な合意です。先進国は2019年を基準に段階的に削減を進めており、日本もフロン類の使用合理化及び管理の適正化に関する法律(フロン排出抑制法)を通じて対応しています。
自然冷媒への転換
HFCs規制の強化を受けて、冷媒をCO2(GWP=1)、アンモニア、炭化水素などの「自然冷媒」に転換する動きが、コンビニ・スーパーの冷凍冷蔵設備や産業用冷凍機で進んでいます。自然冷媒はGWPが低い一方、設備コストや技術要件が異なるため、更新投資のタイミングで転換を検討する企業が増えています。
中堅企業の最初の3歩
第一に、自社が保有する業務用エアコン・冷凍冷蔵設備のフロン排出抑制法上の管理義務(点検・報告)を確認します。第二に、Scope1排出量算定にHFCs漏えい分が正しく計上されているかを点検します。第三に、設備更新のタイミングで自然冷媒機器への転換を選択肢として検討します。
HFC-134a:約1,430倍 / HFC-410A:約2,088倍(CO2比)
出典:IPCC第4次評価報告書(AR4)
FAQ
Q1. HFCsとは何ですか?
エアコンや冷凍冷蔵機器の冷媒等に使われる代替フロン類で、オゾン層は破壊しませんが地球温暖化係数が極めて高いガスです。
Q2. なぜ規制対象になったのですか?
GWPがCO2の数百〜1万倍以上と極めて高く、モントリオール議定書のキガリ改正により国際的に段階的削減が義務化されたためです。
Q3. 日本ではどんな規制がありますか?
フロン排出抑制法により、業務用冷凍空調機器の管理者に定期点検・漏えい量の算定と報告が義務付けられています。
Q4. 中堅企業は何を確認すればよいですか?
保有設備の点検・報告義務の履行状況と、Scope1排出量にHFCs漏えい分が正しく計上されているかを確認することが重要です。
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