GX用語解説:Scope3カテゴリ11
Scope3カテゴリ11とは
Scope3カテゴリ11とは、GHGプロトコルが定めるScope3の15カテゴリのうち、企業が「販売した製品の使用」に伴って発生するGHG排出を対象とするカテゴリです。自動車・家電・住宅設備など、購入後に長期間使用される製品を扱う企業にとっては、製造時の排出量よりも、製品の使用段階での排出量のほうがはるかに大きくなるケースが多く、Scope3の中でも特に重要度の高いカテゴリとされています。
結論から言えば、Scope3カテゴリ11は「自社が売った製品が、お客様の手元でどれだけCO2を出すか」を測るカテゴリです。ガソリン車1台の生涯排出量のうち製造時排出はごく一部で、大半は走行中の燃料消費(使用段階)が占めるように、BtoC製品やエネルギー消費型の産業機械では、このカテゴリの排出量が企業全体のScope1〜3合計の大部分を占めることも珍しくありません。
この記事の要点
- Scope3カテゴリ11=販売した製品の使用段階で発生するGHG排出量を対象とするカテゴリ。
- 自動車・家電・住宅設備等、長期間使用される製品を扱う企業ほど排出量比率が大きくなりやすい。
- 直接使用段階排出(燃料燃焼を伴う製品)と間接使用段階排出(電力を消費する製品)の2種類がある。
- Scope3カテゴリ1(購入した製品・サービス)と対をなす、川下側の代表的カテゴリ。
- 算定には製品の想定耐用年数・使用パターンの仮定が必要で、不確実性が比較的大きい。
実務での使われ方
自動車メーカー、家電メーカー、産業機械メーカー、住宅設備メーカーなどでは、カテゴリ11がScope3排出量全体の大半を占めることが一般的です。こうした企業は、製品の省エネ性能を高めることが、自社のGHG削減目標達成に直結するため、製品開発段階からエネルギー効率を経営上の重要指標として位置づける動きが広がっています。
算定にあたっては、製品の販売台数、想定耐用年数、年間使用時間・使用距離、エネルギー消費原単位(燃費・電力消費効率等)を掛け合わせて推計する方法が一般的で、製品カタログのエネルギー消費効率データがそのまま算定の基礎資料になります。
詳細説明
直接使用段階排出と間接使用段階排出
カテゴリ11は、GHGプロトコルの分類上、燃料や化石燃料を消費する製品(自動車、ボイラー、ガス機器等)からの「直接使用段階排出」と、電力を消費する製品(家電、産業用モーター、データセンター機器等)からの「間接使用段階排出」に分かれます。直接使用段階排出は製品の燃費・出力等から比較的算定しやすい一方、間接使用段階排出は使用地域の電力の排出係数によって数値が変動するため、算定条件の設定が重要になります。
製品設計へのフィードバック
カテゴリ11の排出量が可視化されることで、製品の省エネ性能向上が単なる顧客への訴求ポイントにとどまらず、自社のGHG削減目標達成に直接寄与する経営指標として扱われるようになっています。特にSBT認定を取得する企業では、カテゴリ11を含むScope3全体の削減目標設定が求められるため、製品設計・研究開発部門とサステナビリティ部門の連携が重要になります。
中堅企業の最初の3歩
第一に、自社製品が「使用段階でエネルギーを消費する製品」に該当するかを確認します。第二に、該当する場合、製品カタログのエネルギー消費効率データを整理し、カテゴリ11排出量の概算を試算します。第三に、省エネ性能の向上を製品開発ロードマップに組み込み、Scope3削減の観点から位置づけます。
販売台数 × 想定耐用年数 × 年間使用量 × エネルギー消費原単位
出典:GHGプロトコル「Scope3算定・報告基準」
FAQ
Q1. Scope3カテゴリ11とは何ですか?
GHGプロトコルが定めるScope3の15カテゴリのうち、販売した製品の使用段階で発生するGHG排出量を対象とするカテゴリです。
Q2. どんな企業で重要度が高いですか?
自動車、家電、産業機械、住宅設備など、長期間使用されエネルギーを消費する製品を扱う企業で、排出量比率が特に大きくなります。
Q3. どうやって算定しますか?
販売台数、想定耐用年数、年間使用量、エネルギー消費原単位を掛け合わせて推計するのが一般的な方法です。
Q4. 経営にどう活かせますか?
製品の省エネ性能向上が自社のGHG削減目標達成に直結するため、製品開発段階からの取組みが重要になります。
無料ダウンロード
GX用語集ハンドブック(全100語収録)
GX重要用語100語を、経営判断に必要なポイントだけ凝縮。関西GX推進協議会の監修で、取引先からの脱炭素対応にすぐ答えられる一冊です。
タグ :