GX用語解説:NbS
NbS(自然を活用した解決策)とは
NbS(Nature-based Solutions、自然を活用した解決策)とは、気候変動・防災・水資源管理・生物多様性の損失といった社会課題に対して、人工的なインフラや技術ではなく、生態系の保全・再生・持続可能な管理・活用を通じて対応するアプローチです。国際自然保護連合(IUCN)が体系的な定義を整備しており、コンクリート護岸の代わりにマングローブ林を再生して高潮被害を防ぐといった取組みが代表例として挙げられます。
結論から言えば、NbSは「自然の力を借りて社会課題を解決する」という考え方です。生態系サービスを積極的に活用することで、気候変動の緩和・適応と生物多様性の保全を同時に達成できる点が、単一の課題解決を目指す従来の人工インフラとの大きな違いです。
この記事の要点
実務での使われ方
製造業・不動産業等の企業がNbSを実践する形態には、工場敷地や物流拠点周辺の緑化・湿地再生による防災機能の強化、原材料調達地における森林再生プロジェクトへの投資、都市部のオフィスビルにおけるグリーンインフラ(屋上緑化・雨水浸透施設等)の導入などがあります。これらは自社の気候リスク対策とネイチャーポジティブへの貢献を同時に実現する取組みとして評価されます。
NbSはまた、投資対象としても注目されており、森林・湿地再生プロジェクトへの投融資を通じて気候変動対策と自然資本保全の両方に貢献する「NbS投資」という分野も、グリーンファイナンスの一領域として拡大しています。
詳細説明
グレーインフラとの比較
従来型の「グレーインフラ」(コンクリート護岸、防潮堤等)は特定の機能(例:高潮防御)に特化して設計される一方、NbSは複数の便益を同時にもたらす点が特徴です。例えばマングローブ林の再生は、高潮防御機能に加えて、魚類の産卵場所の提供、CO2の吸収・貯留(ブルーカーボン)、観光資源としての価値創出など、複合的な効果を生み出します。ただし、効果の発現に時間がかかる、極端な災害には対応しきれない場合があるといった限界もあり、グレーインフラとの適切な組み合わせが検討されます。
IUCNのNbSグローバルスタンダード
IUCNは、NbSプロジェクトの質を担保するための「NbSグローバルスタンダード」を策定しており、社会課題への効果的な対応、生物多様性への正味プラスの効果、経済的な実現可能性、公正なガバナンスといった複数の基準への適合を求めています。この基準は、NbSを名乗るプロジェクトの「NbSウォッシュ」(実効性の乏しい取組みをNbSと称すること)を防ぐ役割も果たしています。
中堅企業の最初の3歩
第一に、自社の拠点・施設周辺で防災・環境課題の解決にNbSを活用できる場所がないか検討します。第二に、原材料調達地における森林・湿地再生プロジェクトへの関与可能性を探ります。第三に、既存のグレーインフラ更新のタイミングで、NbSとの組み合わせを選択肢に加えます。
NbS:複合的便益(防災+生物多様性+炭素吸収等) / グレーインフラ:単一機能特化
出典:国際自然保護連合(IUCN)
FAQ
Q1. NbSとは何ですか?
気候変動・防災等の社会課題に、自然の保全・再生・活用を通じて対応するアプローチです。マングローブ林による高潮対策等が代表例です。
Q2. グレーインフラとの違いは?
グレーインフラが単一機能に特化するのに対し、NbSは防災・生物多様性・炭素吸収等の複合的な便益をもたらします。
Q3. どうやって質を担保しますか?
IUCNのNbSグローバルスタンダードが、社会課題への効果、生物多様性への効果等の基準を定めています。
Q4. 企業はどう関われますか?
拠点周辺の緑化・湿地再生、原材料調達地での森林再生プロジェクトへの投資などの形で関与できます。
無料ダウンロード
GX用語集ハンドブック(全100語収録)
GX重要用語100語を、経営判断に必要なポイントだけ凝縮。関西GX推進協議会の監修で、取引先からの脱炭素対応にすぐ答えられる一冊です。
関連記事
新着記事・ニュース
1日3回更新|ビジネスを動かす最新ESGニュースと専門知見をアップデート