GX用語解説:Tier 1サプライヤー
Tier 1サプライヤーとは
Tier 1サプライヤーとは、完成品メーカー(OEM)に対して部品・部材を直接納入する一次取引先を指す、サプライチェーンの階層構造を表す用語です。Tier 1のさらに上流でTier 1に部品を納入する二次取引先は「Tier 2」、その上流は「Tier 3」と呼ばれ、自動車・電機業界を中心に、サプライチェーン全体の階層を整理する際に広く使われる分類です。
結論から言えば、Tier 1サプライヤーは「完成品メーカーと直接顔を合わせる、サプライチェーンの最前線」に位置する企業です。Scope3排出量算定やCSDDD等の人権・環境デューデリジェンスにおいて、OEMがまず働きかける対象はTier 1サプライヤーであることが多く、Tier 1企業には自社のさらに先にあるTier 2・Tier 3企業への波及責任も期待されるようになっています。
この記事の要点
- Tier 1サプライヤー=完成品メーカー(OEM)に部品・部材を直接納入する一次取引先。
- Tier 2、Tier 3とサプライチェーンの階層をさかのぼって整理する分類の起点にあたる。
- OEMのScope3排出量算定・サプライチェーンエンゲージメントで最初に働きかけられる対象になりやすい。
- 完成車メーカー等からの脱炭素要求を受けて、Tier 1企業自身がTier 2以降への働きかけを担う場面が増えている。
- 中堅・中小企業の多くがTier 2・Tier 3として、間接的にOEMの脱炭素要求の影響を受けている。
実務での使われ方
自動車・電機メーカー等のOEMがScope3排出量の削減目標を掲げる場合、まずTier 1サプライヤーに対して排出量データの提供や削減計画の策定を求めることが一般的です。Tier 1企業は、OEMからの要求に対応するだけでなく、自社のさらに先にあるTier 2・Tier 3サプライヤーに対しても同様のデータ提供・削減要求を「バケツリレー」のように連鎖させていく役割を担うことになります。
中堅・中小企業の多くは、直接OEMと取引しないTier 2・Tier 3の立場にあることが多く、Tier 1企業を経由する形で間接的に脱炭素対応を求められるケースが増えています。自社がサプライチェーンのどの階層に位置しているかを把握することは、今後求められる対応の緊急度を見極めるうえで重要です。
詳細説明
階層構造とデータ精度の関係
OEMがScope3排出量を算定する際、Tier 1サプライヤーから実際のデータ(一次データ)を得られれば算定精度が高まりますが、Tier 2・Tier 3以降になると、業界平均等の推計値(二次データ)に頼らざるを得ないことが一般的です。そのため、Tier 1企業には、自社のデータ精度向上とともに、Tier 2以降のデータ収集を仲介する役割も期待されるようになっています。
CSDDDにおける人権・環境DDとの関係
EUのCSDDD(サプライチェーン人権・環境デューデリジェンス指令)は、対象企業に対し、直接の取引先(Tier 1相当)だけでなく、バリューチェーン全体にわたる人権・環境リスクの調査・対応を求めています。これにより、Tier 1企業がTier 2以降のサプライヤーの状況を把握・管理する責任も、実質的に重くなっています。
中堅企業の最初の3歩
第一に、自社がサプライチェーンのどの階層(Tier 1・2・3)に位置しているかを確認します。第二に、直接取引するTier 1企業(またはOEM)からの排出量データ・人権デューデリジェンスに関する要請の有無を確認します。第三に、自社のさらに先にあるサプライヤーへのデータ収集体制を整備できないか検討します。
OEM ← Tier 1(直接納入) ← Tier 2(二次取引先) ← Tier 3(三次取引先)
出典:GHGプロトコル/自動車・電機業界慣行
FAQ
Q1. Tier 1サプライヤーとは何ですか?
完成品メーカー(OEM)に部品・部材を直接納入する一次取引先を指す、サプライチェーンの階層を表す用語です。
Q2. Tier 2・Tier 3との違いは?
Tier 1がOEMの直接取引先であるのに対し、Tier 2はTier 1への納入先、Tier 3はさらにその上流の取引先を指します。
Q3. なぜ重要視されるのですか?
OEMのScope3排出量算定や人権デューデリジェンスにおいて、最初に働きかけの対象となることが多いためです。
Q4. 中堅企業に関係しますか?
多くの中堅・中小企業がTier 2・Tier 3として、Tier 1企業を経由する形で間接的に脱炭素対応を求められています。
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