GX用語解説:適応
適応(アダプテーション)とは
適応(Adaptation)とは、すでに起きている、あるいは今後避けられない気候変動の影響に対して、社会や企業が被害を最小限に抑えるために備え、順応していく取組みを指します。GHG排出削減によって気候変動の原因そのものを抑える「緩和」と対をなす、気候変動対策の2本柱のもう一方であり、パリ協定でも緩和と並ぶ重要な目標として位置づけられています。
結論から言えば、適応は「気候変動をゼロにはできないという前提で、被害を減らす備えをする」取組みです。堤防のかさ上げや高温耐性品種への転換といった社会インフラ・産業レベルの対応から、企業の事業継続計画(BCP)における物理リスク対策まで、幅広いレベルでの取組みが含まれます。
この記事の要点
- 適応=すでに起きている、または避けられない気候変動の影響に備え、被害を減らす取組み。
- 緩和(原因対策)と対をなす、気候変動対策の2本柱のもう一方。
- 堤防整備や高温耐性品種の開発など社会インフラレベルから、企業のBCP整備まで幅広く含まれる。
- 企業にとっては物理リスクへの対応策そのものが、適応の実践にあたる。
- 日本は気候変動適応法(2018年施行)に基づき、国・地方公共団体が適応計画を策定している。
実務での使われ方
企業における適応の実践は、自社拠点やサプライチェーンの物理リスク評価から始まり、洪水対策としての拠点の高台移転・止水板設置、熱波対策としての作業環境改善、水資源リスクへの対応としての節水設備導入といった、具体的な対策へとつながります。TCFD開示においても、適応策の実施状況は、企業のリスク管理体制を示す重要な要素として扱われます。
農業・食品関連企業では、高温・少雨に強い品種への転換や、生産地の分散といった適応策が、原材料調達の安定性確保という観点からも実務的な重要性を持っています。
詳細説明
緩和との補完関係
緩和と適応は、しばしば「緩和は”病気の予防”、適応は”病気になった後の治療”」に例えられます。両者はどちらか一方で十分というものではなく、緩和努力を最大限進めても、すでに大気中に蓄積されたGHGの影響で一定の気候変動は避けられないため、適応の取組みが同時に必要とされます。逆に、適応だけに頼って緩和を怠れば、将来的な気候変動の影響がさらに深刻化し、適応コストが際限なく増大するリスクがあります。
日本の気候変動適応法
日本では2018年に気候変動適応法が施行され、国が気候変動適応計画を策定するとともに、地方公共団体にも地域気候変動適応計画の策定が努力義務として求められています。国立環境研究所内に設置された気候変動適応情報プラットフォーム(A-PLAT)では、地域別・分野別の気候変動影響予測やハザードマップ情報が提供されており、企業の物理リスク評価の参考資料としても活用できます。
中堅企業の最初の3歩
第一に、自社拠点・サプライチェーンの物理リスクを、A-PLAT等の公的データを参考に評価します。第二に、洪水・熱波等の具体的なリスクに応じた適応策(拠点の防災対策、作業環境改善等)を検討します。第三に、BCP(事業継続計画)の見直しに、気候変動適応の視点を組み込みます。
緩和=原因対策(GHG排出削減) / 適応=影響への備え(被害の最小化)
出典:環境省「気候変動適応計画」
FAQ
Q1. 適応とは何ですか?
すでに起きている、または避けられない気候変動の影響に対して、被害を最小限に抑えるために備える取組みです。
Q2. 緩和との違いは?
緩和がGHG排出削減による原因対策であるのに対し、適応は気候変動の影響そのものへの備え・順応を指します。
Q3. 企業はどんな適応策を取れますか?
拠点の防災対策、水資源リスクへの節水設備導入、高温耐性品種への転換など、物理リスクに応じた具体的な対策が挙げられます。
Q4. 参考になる情報源はありますか?
国立環境研究所の気候変動適応情報プラットフォーム(A-PLAT)で、地域別・分野別の影響予測情報を確認できます。
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