GX用語解説:第三者保証
第三者保証とは
第三者保証とは、企業が開示するサステナビリティ情報(GHG排出量、ESGデータ等)について、当該企業や監査法人と直接の利害関係を持たない第三者機関が、その内容の正確性・信頼性を独立した立場で検証し、保証意見を表明する業務です。財務諸表監査における会計監査人の役割に近い機能を、非財務情報の分野で担うものと理解すると分かりやすい仕組みです。
結論から言えば、第三者保証は「開示したCO2排出量やESGデータが、第三者のお墨付きを得た信頼できる数字である」ことを示す仕組みです。EUのCSRDでは第三者保証の取得が義務化されており、日本でも有価証券報告書のサステナビリティ情報に将来的に保証が求められる方向で議論が進んでいます。
この記事の要点
- 第三者保証=企業のサステナビリティ情報の正確性を、独立した第三者機関が検証・保証する業務。
- 財務諸表監査の非財務情報版と理解すると分かりやすい。
- EUのCSRDは第三者保証の取得を義務化している(段階的に「合理的保証」水準まで引き上げ予定)。
- 保証水準には「限定的保証」(誤りがないことの消極的確認)と「合理的保証」(より高い確信水準)の2段階がある。
- 日本でも有価証券報告書のサステナビリティ情報への保証導入が金融庁で検討されている。
実務での使われ方
企業がGHG排出量やサステナビリティ報告書のデータについて第三者保証を取得する場合、監査法人や専門の検証機関に依頼し、算定プロセス・データの根拠資料・集計方法などを確認してもらう手続きを踏みます。保証取得には一定のコストと時間がかかりますが、投資家や取引先に対して開示データの信頼性を客観的に示せるという利点があります。
特に、Scope3排出量は算定に多くの推計・仮定が含まれるため、第三者保証の取得難易度が高い一方、保証を取得できれば開示の信頼性を大きく高められる領域として注目されています。
詳細説明
限定的保証と合理的保証
第三者保証には2つの水準があります。「限定的保証」は、データに重要な誤りがないことについて消極的な確認(「重要な誤りを示す事項に気づかなかった」という形式)を行うもので、比較的短期間・低コストで取得できます。「合理的保証」は、財務諸表監査と同水準の詳細な手続きを経て、より高い確信度で保証意見を表明するもので、CSRDはEU域内の対象企業に対し、当初は限定的保証を求めつつ、将来的に合理的保証への移行を予定しています。
保証機関の種類
第三者保証は、会計監査を担う監査法人のほか、ISO14064-3等の規格に基づく専門の検証機関(認証機関)によっても提供されます。日本ではJ-クレジット制度の検証機関や、GHGプロトコルに基づく排出量算定の検証実績を持つ機関が、この分野を担うことが多くなっています。
中堅企業の最初の3歩
第一に、自社が第三者保証を取得済みかどうか、取得している場合はどの水準(限定的・合理的)かを確認します。第二に、CSRD対象の親会社・取引先から保証取得を求められる可能性がないかを確認します。第三に、Scope1・2排出量など算定範囲が明確な領域から、段階的に第三者保証の取得を検討します。
限定的保証(消極的確認) → 合理的保証(財務監査同水準の確信度)
出典:EU「CSRD」/国際監査・保証基準審議会(IAASB)
FAQ
Q1. 第三者保証とは何ですか?
企業のサステナビリティ情報について、独立した第三者機関がその正確性・信頼性を検証し、保証意見を表明する業務です。
Q2. なぜ必要なのですか?
開示データの正確性を第三者が客観的に確認することで、投資家や取引先からの信頼性を高めるためです。CSRDでは義務化されています。
Q3. 限定的保証と合理的保証の違いは?
限定的保証は消極的な確認にとどまる一方、合理的保証は財務監査と同水準の詳細な手続きを経る、より確信度の高い保証です。
Q4. 中堅企業に関係しますか?
CSRD対象の取引先から、サプライチェーン上の排出量データについて保証相当の信頼性を求められる場面が増える可能性があります。
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