GX用語解説:マテリアリティ
マテリアリティとは
マテリアリティ(重要性)とは、企業が数あるサステナビリティ課題の中から、自社の事業・戦略・財務、あるいは環境・社会への影響という観点で「特に重要度が高い」と判断した課題を選定する考え方です。すべての企業がすべてのESG課題に等しく取り組むことは現実的ではないため、マテリアリティの特定は、サステナビリティ経営の出発点として国際的な開示基準で共通して求められるプロセスです。
結論から言えば、マテリアリティは「限られた経営資源を、どのサステナビリティ課題に優先的に振り向けるか」を決めるための判断軸です。GRIやESRS、IFRS S1など、主要な開示基準はいずれもマテリアリティ評価を開示プロセスの起点に位置づけています。
この記事の要点
実務での使われ方
企業がサステナビリティ報告書や統合報告書を作成する際、まず自社にとっての重要課題(マテリアルイシュー)を特定するプロセスを踏みます。一般的には、社内外のステークホルダー(従業員、投資家、取引先、NGO等)へのアンケートやヒアリングを通じて、多数の候補課題を「自社への影響度」と「ステークホルダーの関心度」の2軸で評価し、優先度の高い課題を絞り込みます。
絞り込まれたマテリアルイシューは、中期経営計画のサステナビリティ関連KPIや、SBT目標設定の対象領域を決める基礎資料としても活用され、経営資源配分の優先順位づけに直結します。
詳細説明
シングルマテリアリティとダブルマテリアリティ
「シングルマテリアリティ」は、投資家の投資判断に影響を与えうるかという財務的重要性の観点のみで開示範囲を判断する考え方で、IFRS S1・SSBJ基準が採用しています。一方「ダブルマテリアリティ」は、これに加えて企業活動が環境・社会に与える影響の重要性(インパクトマテリアリティ)も評価対象に含める考え方で、EUのESRSやGRIスタンダードが採用しています。どちらの基準を参照するかによって、マテリアリティ評価の設計自体が変わる点に注意が必要です。
マテリアリティマトリクスの作り方
多くの企業は、洗い出した候補課題を縦軸「自社の事業・財務への影響度」、横軸「ステークホルダーにとっての重要度」の2軸マップ上にプロットする「マテリアリティマトリクス」を作成し、右上(両軸で重要度が高い)に位置する課題を最重要課題として選定します。このプロセスは一度きりではなく、事業環境の変化に応じて定期的(2〜3年ごと等)に見直すことが推奨されています。
中堅企業の最初の3歩
第一に、自社に関連しうるサステナビリティ課題の候補リストを、業界団体や公開されている他社事例を参考に洗い出します。第二に、主要な取引先・従業員等への簡易的なヒアリングを行い、重要度を評価します。第三に、絞り込んだ重要課題を、自社のウェブサイトや会社案内で「重点的に取り組むテーマ」として明示します。
シングルマテリアリティ(財務的重要性のみ) / ダブルマテリアリティ(環境・社会への影響も含む)
出典:GRI/EFRAG(ESRS)/ISSB
FAQ
Q1. マテリアリティとは何ですか?
企業が数あるサステナビリティ課題の中から、自社にとって特に重要度の高い課題を選定する考え方です。
Q2. シングルとダブルの違いは?
シングルマテリアリティは投資家にとっての財務的重要性のみを評価し、ダブルマテリアリティは自社が環境・社会に与える影響も含めて評価します。
Q3. どうやって特定しますか?
候補課題を「自社への影響度」と「ステークホルダーの関心度」の2軸で評価し、マテリアリティマトリクスとして可視化する方法が一般的です。
Q4. 中堅企業はどう始めればよいですか?
業界の他社事例を参考に候補課題を洗い出し、主要な取引先・従業員への簡易ヒアリングから重要課題を絞り込むことから始められます。
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