GX用語解説:NDC
NDCとは
NDC(Nationally Determined Contribution、国別目標)とは、パリ協定のもとで各国が自主的に設定し、国連に提出するGHG排出削減の約束・目標です。京都議定書のようにトップダウンで数値目標が割り当てられる方式とは異なり、各国が自国の事情に応じて目標を設定する「プレッジ&レビュー」方式を採用している点が特徴で、原則5年ごとに見直し・再提出が求められます。
結論から言えば、NDCは「各国が自ら宣言する脱炭素の公約」です。日本は2021年に「2030年度に2013年度比46%削減、さらに50%の高みを目指す」というNDCを提出しており、この国家目標がGX推進法やエネルギー基本計画など国内制度の設計に直結しています。
この記事の要点
- NDC=パリ協定のもとで各国が自主的に設定し国連に提出するGHG削減目標。
- 京都議定書のトップダウン方式と異なり、各国主導の「プレッジ&レビュー」方式。
- 原則5年ごとに見直し・再提出が求められ、内容は後退させない「後退禁止原則」がある。
- 日本のNDCは「2030年度に2013年度比46%削減、50%の高みを目指す」(2021年提出)。
- 国のNDCが、GX推進法等の国内制度・企業への規制強度を左右する。
実務での使われ方
企業にとってNDCは直接の規制対象ではありませんが、国のNDC水準はGX-ETSの排出枠設定や、省エネ法・温対法に基づく報告義務の厳格化など、国内制度の方向性を規定する上位目標として機能します。NDCが引き上げられれば、それに伴い国内の排出削減制度も強化される可能性が高く、中長期の事業計画を立てるうえで各国のNDC動向を把握しておくことは重要です。
海外展開する企業にとっては、進出先の国のNDC水準や達成状況が、その国のエネルギー価格・炭素税・規制環境の先行指標になるため、事業リスク評価の材料としても活用されます。
詳細説明
グローバル・ストックテイクとの関係
パリ協定は、5年ごとに世界全体の排出削減進捗を評価する「グローバル・ストックテイク」という仕組みを設けており、2023年のCOP28で第1回の評価が行われました。この評価結果を踏まえて、各国は次のNDC(多くの国で2035年目標)をより野心的な内容に更新することが求められます。NDCの野心度が世界全体で足並みが揃わない限り、1.5度目標の達成は困難になるとされています。
日本のNDCの内訳
日本のNDCが掲げる「2030年度46%削減」目標は、部門別には産業部門・業務部門・家庭部門それぞれで異なる削減率が割り当てられており、この配分がエネルギー基本計画における電源構成目標(再エネ比率36〜38%程度等)の前提になっています。企業の排出削減目標を検討する際、自社が属する部門の目標水準を確認することが、国全体の目標との整合性を測る手がかりになります。
中堅企業の最初の3歩
第一に、日本のNDCの数値目標(2030年度46%削減)と、自社が属する業種のGX-ETS等での位置づけを確認します。第二に、海外進出先がある場合、その国のNDC水準や見直し時期を把握します。第三に、次回のNDC更新(2035年目標)が国内制度の強化につながる可能性を見据え、早めの削減対策着手を検討します。
2030年度に2013年度比46%削減、さらに50%の高みを目指す
出典:外務省・環境省「日本のNDC」
FAQ
Q1. NDCとは何ですか?
パリ協定のもとで各国が自主的に設定し国連に提出するGHG排出削減目標です。原則5年ごとに見直されます。
Q2. 京都議定書の目標とどう違いますか?
京都議定書はトップダウンで数値目標が割り当てられましたが、NDCは各国が自国の事情に応じて自主的に目標を設定する方式です。
Q3. 日本のNDCの内容は?
2030年度に2013年度比46%削減、さらに50%の高みを目指すという目標を2021年に提出しています。
Q4. 企業にどう関係しますか?
国のNDC水準がGX-ETSの排出枠設定など国内制度の方向性を左右するため、事業計画上の重要な先行指標になります。
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