GX用語解説:スチュワードシップ・コード
スチュワードシップコードとは
スチュワードシップコードとは、機関投資家が投資先企業との建設的な対話(エンゲージメント)を通じて、企業の持続的な成長を促し、投資家自身の顧客・受益者の中長期的な利益を確保することを求める行動規範です。日本では金融庁が2014年に策定し、年金基金・保険会社・資産運用会社などが受け入れを表明しています。
結論から言えば、スチュワードシップコードは「株を持つだけでなく、企業と対話して企業価値を高める責任」を機関投資家に求める規範です。国際的なPRI(責任投資原則)がESGを投資判断に組み込むことを求めるのに対し、スチュワードシップコードは投資後の「対話」の実践に重点を置いている点が特徴です。
この記事の要点
- スチュワードシップコード=機関投資家に投資先との建設的対話を求める行動規範。
- 日本では金融庁が2014年に策定。年金基金・保険会社等が受け入れを表明。
- PRIがESGの投資組み込みを求めるのに対し、投資後の対話実践に重点を置く。
- 「コンプライ・オア・エクスプレイン」(原則を実施するか、実施しない理由を説明する)の手法を採用。
- 気候変動を含むESG課題も、対話のテーマとして重視されるようになっている。
実務での使われ方
スチュワードシップコードを受け入れた機関投資家は、投資先企業に対して、議決権行使や経営陣との対話を通じて、中長期的な企業価値向上を働きかけます。近年は、気候変動対応やTCFD開示の充実度が、対話のテーマとして取り上げられるケースが増えています。
企業にとっては、機関投資家がスチュワードシップコードに基づいてどのような視点で対話を求めてくるかを理解しておくことが、株主総会や投資家説明会での対応の質を高めることにつながります。特に、気候関連のリスク・機会についての説明力が問われる場面が増えています。
詳細説明
コンプライ・オア・エクスプレインの考え方
スチュワードシップコードは法的な強制力を持つ規制ではなく、機関投資家が自主的に受け入れを表明する「原則主義」のコードです。原則を実施するか、実施しない場合はその理由を説明する「コンプライ・オア・エクスプレイン」という手法を採用しており、画一的な遵守ではなく、各機関投資家の状況に応じた柔軟な実践を促す設計になっています。
PRIとの役割分担
PRIが「投資判断にESGを組み込む」という入口の原則を国際的に示すのに対し、スチュワードシップコードは「投資後、企業とどう向き合うか」という実践面を日本国内の文脈で具体化したものと整理できます。両者は補完的な関係にあり、多くの機関投資家が両方を受け入れています。
中堅企業の最初の3歩
第一に、自社の主要株主がスチュワードシップコードの受け入れを表明しているかを確認します。第二に、投資家との対話で想定される気候・ESG関連の質問を整理します。第三に、TCFD開示など、対話の土台となる情報開示を充実させます。
コンプライ・オア・エクスプレイン(原則実施 or 理由説明)
出典:金融庁
FAQ
Q1. スチュワードシップコードとは何ですか?
機関投資家に投資先企業との建設的な対話を通じて企業の持続的成長を促すことを求める行動規範です。日本では金融庁が2014年に策定しました。
Q2. PRIとの違いは?
PRIは投資判断にESGを組み込む国際原則、スチュワードシップコードは投資後の対話実践に重点を置く日本の行動規範という違いがあります。
Q3. 法的な強制力はありますか?
法規制ではなく自主的な原則主義のコードで、実施するか実施しない理由を説明する「コンプライ・オア・エクスプレイン」の手法を採ります。
Q4. 中堅企業はどう備えればよいですか?
主要株主の受け入れ状況を確認し、気候・ESG関連の想定質問を整理したうえで、TCFD開示など対話の土台となる情報開示を充実させます。
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