GX用語解説:生物多様性
生物多様性とは
生物多様性(Biodiversity)とは、地球上の生命が持つ多様さを表す概念で、「生態系の多様性」「種の多様性」「遺伝子の多様性」という3つのレベルで構成されます。1992年のリオ地球サミットで採択された生物多様性条約(CBD)の基本概念であり、気候変動と並ぶ地球規模の環境課題として位置づけられています。
結論から言えば、生物多様性は「気候だけを見ていては足りない」ことを示すキーワードです。企業活動は原材料の調達や立地を通じて自然に依存し、また影響を与えています。近年はTNFDの開示要請やネイチャーポジティブという国際目標を通じて、企業経営に直接関わるテーマになりつつあります。
この記事の要点
- 生物多様性=生態系・種・遺伝子という3レベルの多様さの総称。
- 1992年採択の生物多様性条約(CBD)が国際的な基本枠組み。
- 企業は原材料調達・立地を通じて自然に「依存」し「影響」を与える。
- 情報開示はTNFD、目標はネイチャーポジティブ・30by30と連動。
- 目標設定の実務的な物差しとしてSBTNが使われる。
実務での使われ方
森林・水産・農業原材料を扱う企業や、工場立地が生態系に影響しうる企業では、生物多様性への配慮がすでに取引条件やブランド評価の一部になり始めています。大手企業が自然関連の目標を掲げ、原材料調達基準に組み込む動きが広がるなか、サプライヤーである中堅企業にも間接的な影響が及びます。
実務の出発点は、自社事業が自然にどれだけ「依存」しているか(水・原材料など自然の恵みへの依存度)と、どれだけ「影響」を与えているか(排出・土地利用などによる負荷)を整理することです。この整理はTNFDに沿った開示の土台にもなります。
詳細説明
3つのレベルと国際枠組み
生物多様性は、生態系(森林・湿地・海洋など)の多様性、種(動植物・微生物など)の多様性、遺伝子(同じ種の中の個体差)の多様性という3つのレベルで捉えられます。国際的な保全の枠組みは、1992年採択の生物多様性条約(CBD)を土台に発展してきました。
企業経営との接点
気候変動がTCFDを通じて財務情報開示に組み込まれたのと同様に、自然・生物多様性はTNFDを通じて開示の対象になりつつあります。到達すべきゴールとして、2030年までに自然損失を止めて反転させるネイチャーポジティブや、陸と海の30%以上を保全する30by30が国際的に掲げられています。
中堅企業の最初の3歩
第一に、自社の原材料調達や事業立地が、どの自然環境と接点を持つかを洗い出します。第二に、依存と影響の大きさを大まかに整理します。第三に、目標設定が必要な場合はSBTNの考え方を参考にします。気候対応と同様、まず自社の接点を「知る」ことが出発点です。
生態系の多様性 / 種の多様性 / 遺伝子の多様性
出典:生物多様性条約(CBD)
FAQ
Q1. 生物多様性とは何ですか?
生態系・種・遺伝子という3つのレベルで捉えられる、地球上の生命の多様さを表す概念です。1992年採択の生物多様性条約(CBD)が国際的な基本枠組みです。
Q2. 気候変動対応とどう違いますか?
気候変動はGHG排出が主な焦点ですが、生物多様性は自然への依存と影響という、より広い関係を扱います。両者は独立した課題として企業に開示を求められ始めています。
Q3. TNFDやネイチャーポジティブとの関係は?
TNFDは自然関連の情報開示の枠組み、ネイチャーポジティブは2030年までに自然損失を反転させる国際目標です。生物多様性はこれらが対象とする中心概念です。
Q4. 中堅企業は何から始めればよいですか?
まず自社の原材料調達や立地が、どの自然環境と接点を持つかを洗い出し、依存と影響の大きさを整理することから始めます。
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