GX用語解説:OECM
OECMとは
OECM(Other Effective area-based Conservation Measures、その他の効果的な地域をベースとする保全手段)とは、国立公園のような法定の保護区ではないものの、生物多様性の保全に実質的に貢献していると認められる区域を指す国際的な概念です。企業が保有する社有林・工場周辺の緑地・ため池などが、適切に管理されることでOECMとして認定されるケースがあり、ネイチャーポジティブ目標の達成手段として注目されています。
結論から言えば、OECMは「国立公園ではないけれど、実質的に自然を守っている場所」を制度的に評価する仕組みです。2022年に採択された昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)が掲げる「2030年までに陸域・海域の30%を保全する(30by30)」目標の達成において、法定保護区だけでは不足する保全面積を補う手段として重要な役割を担っています。
この記事の要点
- OECM=法定保護区ではないが、生物多様性保全に実質的に貢献する区域という国際的な概念。
- 企業の社有林・緑地・ため池等が、適切な管理により認定対象になりうる。
- 昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)が掲げる「30by30」目標達成の重要な手段。
- 日本では「自然共生サイト」制度が、OECMの考え方を国内で実装したものとして運用されている。
- 企業にとっては、保有地の環境価値を対外的に示す新たな手段になる。
実務での使われ方
企業がOECM(または国内の自然共生サイト相当)の認定を受けるには、対象区域の生態系の状態を評価し、継続的な管理計画を策定・実行する必要があります。工場敷地内の緑地や社有林を単なる遊休地として放置するのではなく、生物多様性保全に資する形で管理することで、環境価値のある資産として位置づけ直す動きが企業に広がっています。
認定を受けた区域は、統合報告書やサステナビリティ報告書での自然資本への取組み事例として紹介できるほか、地域社会との関係構築や、TNFD開示における「機会」の側面を示す具体的な取組みとしても活用できます。
詳細説明
法定保護区との違い
国立公園や国定公園といった法定保護区は、国や自治体が法律に基づいて指定・管理する区域である一方、OECMは民間企業や地域コミュニティが管理する土地であっても、生物多様性保全への実質的な貢献が認められれば対象になりうる点が大きな違いです。この柔軟性により、企業の社有地や里山なども保全面積としてカウントされる可能性が生まれます。
30by30目標との関係
「2030年までに陸域・海域の30%を保全する」という30by30目標は、多くの国で法定保護区だけでは達成が難しいとされており、OECMの活用が目標達成の鍵を握るとされています。日本政府も、法定保護区(約20%)に加えてOECM(自然共生サイト等)を積み重ねることで、30%目標の達成を目指す方針を示しています。
中堅企業の最初の3歩
第一に、自社が保有する社有林・緑地・ため池等の未利用地・低利用地を洗い出します。第二に、これらの土地が生物多様性保全に資する形で管理されているかを確認します。第三に、国内の自然共生サイト認定制度への申請可能性を検討します。
2030年までに陸域・海域の30%を保全(法定保護区+OECM)
出典:昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)
FAQ
Q1. OECMとは何ですか?
法定の保護区ではないものの、生物多様性の保全に実質的に貢献していると認められる区域を指す国際的な概念です。
Q2. 企業の土地も対象になりますか?
社有林や工場周辺の緑地などが、適切に管理されることでOECMとして認定される可能性があります。
Q3. 日本ではどんな制度がありますか?
「自然共生サイト」制度が、OECMの考え方を国内で実装したものとして運用されています。
Q4. 中堅企業に何のメリットがありますか?
保有地の環境価値を対外的に示す手段になり、統合報告書やTNFD開示での具体的な取組み事例として活用できます。
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