GX用語解説:ESRS E2
ESRS E2とは
ESRS E2とは、EUのCSRD(企業サステナビリティ報告指令)に基づく欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)のうち、大気・水・土壌への汚染物質排出を対象とする基準です。ESRS E1が気候変動(GHG)を対象とするのに対し、ESRS E2はそれ以外の汚染物質(揮発性有機化合物、重金属、マイクロプラスチック等)の排出管理を開示対象とします。
結論から言えば、ESRS E2は「CO2以外の”汚染”にも目を向けさせる開示基準」です。化学工業・金属加工業など、大気汚染物質や排水を扱う業種にとっては、GHG排出量以上に実務上の対応負荷が大きくなる可能性があります。
この記事の要点
実務での使われ方
ESRS E2の適用対象企業は、大気汚染物質(NOx、SOx、揮発性有機化合物等)、水質汚染物質、土壌汚染、そしてマイクロプラスチックの排出量について、既存の環境法令に基づく報告データを活用しながら開示します。日本企業のEU子会社が対象になる場合、現地の環境規制当局への報告データをそのままESRS E2開示の基礎資料として転用できるケースが多くあります。
汚染物質の排出削減は、多くの場合、既存の大気汚染防止法・水質汚濁防止法等の国内法令対応の延長線上にあるため、日本国内で環境法令を遵守してきた企業にとっては、データの再整理から着手しやすい領域です。
詳細説明
E-PRTR制度との関係
ESRS E2は、EUの「汚染物質排出・移動登録(European Pollutant Release and Transfer Register)」制度が定める報告対象物質のリストと整合するよう設計されています。この整合性により、既にE-PRTR相当の報告義務を負っているEU域内の事業所は、比較的スムーズにESRS E2開示へ移行できます。
マイクロプラスチックという新領域
ESRS E2の特徴的な点は、マイクロプラスチックの意図的な排出(化粧品・洗剤等への使用)と非意図的な排出(タイヤ摩耗、繊維洗濯等)の両方を開示対象とすることです。これは欧州のプラスチック規制強化の流れを反映したもので、繊維・化学・自動車部品業界にとって新たな開示負荷になっています。
中堅企業の最初の3歩
第一に、自社(またはEU子会社)が大気汚染物質・水質汚染物質の排出データを既存法令対応で保有しているかを確認します。第二に、EU域内事業所がある場合、ESRS E2の適用可能性を確認します。第三に、製品にマイクロプラスチック由来の素材(合成繊維等)が含まれる場合、その排出経路を洗い出します。
E1=GHG(気候変動) / E2=大気・水・土壌汚染物質・マイクロプラスチック
出典:欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)
FAQ
Q1. ESRS E2とは何ですか?
ESRSのうち、大気・水・土壌への汚染物質排出とマイクロプラスチックを対象とする開示基準です。
Q2. ESRS E1との違いは?
ESRS E1がGHG(温室効果ガス)を対象とするのに対し、ESRS E2はそれ以外の大気・水・土壌汚染物質を対象とします。
Q3. どんな業種への影響が大きいですか?
化学工業、金属加工業、繊維業など、汚染物質を排出しやすい業種で対応負荷が大きくなる傾向があります。
Q4. 中堅企業は何を確認すればよいですか?
既存の大気汚染防止法・水質汚濁防止法対応データを整理し、EU子会社があれば適用可能性を確認することが第一歩です。
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