GX用語解説:ESRS E3
ESRS E3とは
ESRS E3とは、ESRS(欧州サステナビリティ報告基準)のうち、水資源および海洋資源の利用・管理に関する開示を求める基準です。企業の水使用量、水ストレス地域での取水状況、排水の水質、そして海洋資源への影響を開示対象とし、気候変動と並ぶ重要な環境リスクとして水資源問題を位置づけています。
結論から言えば、ESRS E3は「CO2だけでなく、水の使い方も企業の説明責任の対象にする」基準です。製造業・食品加工業・繊維業など水を大量に使用する業種にとって、水資源の利用状況を定量的に開示することは、今後の事業継続性を評価するうえでも重要な情報になります。
この記事の要点
- ESRS E3=水資源・海洋資源の利用・管理に関する開示基準。
- 企業の総取水量、水ストレス地域での取水量、排水の水質を開示対象とする。
- 製造業・食品加工業・繊維業など水を大量に使用する業種への影響が大きい。
- 「水ストレス地域」の特定にはWRI Aqueduct等の国際的なツールが参照される。
- 海洋資源(漁業、海洋生態系)への影響も開示範囲に含まれる。
実務での使われ方
ESRS E3の対象企業は、自社拠点(および可能な範囲でサプライチェーン)の総取水量・消費水量・排水量を定量的に把握し、特に水ストレスが高いと評価される地域での取水については、より詳細な開示が求められます。既に水資源管理に取り組んできた食品・飲料メーカーなどは、既存の水使用量データを活用しやすい一方、これまで水使用量を体系的に管理してこなかった企業は、新たなデータ収集体制の構築が必要になります。
CDPウォーターへの回答経験がある企業は、水資源に関する質問項目の多くがESRS E3と重なるため、既存の回答プロセスを応用できます。
詳細説明
水ストレス地域の特定
ESRS E3では、企業拠点が「水ストレス地域」(水需要が供給を上回るリスクが高い地域)に立地しているかどうかの評価が重視されます。この評価には、世界資源研究所(WRI)が提供するAqueductツールなど、地域別の水リスクを可視化する国際的なデータベースが広く活用されます。水ストレス地域での事業活動は、より詳細な開示と削減計画の提示が求められる傾向にあります。
サプライチェーンを含めた水リスク評価
自社拠点の水使用量だけでなく、原材料調達段階(農業用水、繊維の染色工程等)での水資源への影響も、可能な範囲でESRS E3の開示対象に含まれます。特に食品・繊維業界では、上流のサプライチェーンにおける水使用が、自社拠点よりもはるかに大きな水フットプリントを持つことが多く、この点への注意が求められます。
中堅企業の最初の3歩
第一に、自社拠点の総取水量・排水量のデータを整理します。第二に、WRI Aqueduct等を使い、自社拠点が水ストレス地域に該当するかを確認します。第三に、原材料調達段階での水使用量について、サプライヤーへのヒアリングを検討します。
総取水量 / 水ストレス地域での取水量 / 排水の水質 / 海洋資源への影響
出典:欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)
FAQ
Q1. ESRS E3とは何ですか?
ESRSのうち、水資源・海洋資源の利用・管理に関する開示を求める基準です。
Q2. どんな業種への影響が大きいですか?
製造業、食品加工業、繊維業など、水を大量に使用する業種で対応負荷が大きくなる傾向があります。
Q3. 水ストレス地域はどう特定しますか?
WRI Aqueductなど、地域別の水リスクを可視化する国際的なツールを使って評価するのが一般的です。
Q4. CDPウォーターとの関係は?
CDPウォーターへの回答経験がある企業は、質問項目の多くがESRS E3と重なるため、既存プロセスを応用できます。
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