GX Times Lab 創刊編集長 遠藤 翼
「GXは環境論ではなく、コスト・競争力・資金調達の問題である」――Economics Over Ecologyを掲げる連続起業家
遠藤 翼
Endo Tsubasa
株式会社 Unlimited Work Place 代表取締役
一般社団法人 関西GX推進協議会 理事・事務局長
GX Times Lab 創刊編集長
2025年、大阪・関西万博「フューチャーライフヴィレッジ」にて4社共創によるGX展示を発起・主宰。同年、一般社団法人 関西GX推進協議会(KGX)を設立し事務局長に就任。翌2026年、全国の中小企業経営層に向けた専門媒体「GX Times Lab」を創刊──万博・社団法人・全国媒体という三層構造を、わずか一年で独力にて築き上げた連続起業家・遠藤翼。
マーケティング起点の経営設計を武器に複数事業を並行運営し、現在はGXブランディング・GXマーケティングを切り口とする企業コンサルティングを展開。中小企業の脱炭素を経営の打ち手へと翻訳する第一人者として、メディアの編集思想に「Economics Over Ecology」を据える遠藤に、起業家としての思想形成、三層構造の構築過程、そして全国の中堅・中小企業経営者へのメッセージを聞いた。
「Economics Over Ecology」に至るまで――P/Lに直結しない施策は意味がない
「GXは環境論ではなく、コスト・競争力・資金調達というP/Lの問題である」──これがGX Times Labが読者に果たす約束であり、メディア全体を貫く編集思想です。
日本の中堅・中小企業経営者にとって、GX(グリーン・トランスフォーメーション)は長らく「環境のために仕方なくやるもの」「コストがかかる負担」として受け止められてきました。しかし2026年現在、この認識のままでは経営判断そのものを誤ります。GX-ETS(排出量取引制度)の本格稼働、SSBJ基準による開示義務化、取引先からのScope3要請──これらはすべて「コスト・競争力・資金調達」というP/Lの問題として降りかかってきている。GXを環境論として扱う限り、経営判断者は動けません。
私はこれまで、マーケティング起点の経営設計を武器に複数事業を並行運営してきました。経営戦略・ブランディング・コミュニケーション設計を横断するなかで、一貫して持ってきた原則が「P/Lに直結しない施策は意味がない」というものです。
この原則は、現場で実業を積み上げる中で鍛えられました。どれほど美しい戦略を描いても、どれほど話題性のあるキャンペーンを打っても、企業のP/Lに数字として返ってこなければ「経営の打ち手」とは呼べない。GXも同じです。脱炭素を「正しさ」や「使命感」で語る限り、経営判断者は動けない。脱炭素を経営の打ち手へと翻訳する──そのために必要なのが、Economics Over Ecologyという視座でした。
その通りです。GX Times Labが扱うのは、補助金活用設計、Scope1+2の算定、取引先要請への対応、GX投資のROI試算など、経営判断に直結する実装知です。「環境のために」ではなく、「コスト構造を変えるために」「競争優位を作るために」「資金調達を有利にするために」GXに取り組む──この視点を全記事で貫いています。
経営判断者が”動けない理由”を一つずつ解体し、脱炭素を経営の打ち手へと翻訳する。GX Times Labが読者に果たす約束は、この一点に集約されます。
マーケティングを武器に複数事業を並行運営する連続起業家として
UWPは、GX・Web3.0・AIを活用した企画・実行支援/ブランディング/地域共創プロジェクト運営/アート・カルチャー事業を展開する会社です。代表取締役として、複数の事業を並行運営しています。
事業を横断的に運営するうえで一貫して持っているのが、「マーケティング起点で経営を設計する」という思考の軸です。商品開発・ブランディング・コミュニケーション・収益構造──すべてをマーケティングの視点から組み立てる。これは私自身が現場で複数事業を回す中で実証されたアプローチであり、現在はそのノウハウを中小企業向けのGXコンサルティングに転用しています。
GXブランディング・GXマーケティングを切り口とする企業コンサルティングです。GX商材を扱う企業のほとんどが、「商品の正しさ」だけで売ろうとして失敗しています。脱炭素設備、再エネ、Scope3算定ツール──いずれも「環境にいい」だけでは中小企業の購買意思決定には届かない。
私たちが提供するのは、GX商材を中小企業の購買意思決定につなげる戦略設計です。経営判断者の動機構造、購買プロセス、決裁フロー、競合との差別化──すべてをマーケティング起点で組み直し、GX商材が「コスト・競争力・資金調達」の文脈で語られるよう翻訳していきます。
事業ごとに必要な「経営設計の型」が共通しているからです。マーケティング起点の経営設計という型を持っていれば、業種が変わっても、規模が変わっても、本質的な打ち手は構造化できる。逆に言えば、この型を持たない経営者は、一つの事業で精一杯になります。
GX Times Labで読者に提供したいのも、まさにこの「型」です。記事を通じて、中小企業の経営者が自社のGX対応を「型」として構造化できるよう設計しています。
万博→KGX→GXTLを一年で築き上げた軌跡
2025年、大阪・関西万博「フューチャーライフヴィレッジ」において、4社共創による循環型社会の体現展示を発起・主宰しました。茶殻・再生和紙・金箔などサステナブル画材を用いて命の循環を可視化する展示で、国内外の来場者にGXの新しい表現を届けることができました。
この万博での経験を通じて確信したのが、「GXは経営の現場で実装されてこそ意味がある」ということです。展示で世界観を伝えるだけでは、現場の中小企業は動かない。実装支援のハブが必要だと痛感しました。
はい。同じ2025年、一般社団法人 関西GX推進協議会(KGX)を設立し、理事兼事務局長に就任しました。KGXは関西発のGX推進ハブとして、産官学連携によるGX実装支援を担う社団法人です。代表理事には、GXアーティストの第一人者である宇都宮涼子が就任し、編集委員には食・循環経済領域の瀬良垣弥保、GX人材領域の安住宗一郎が加わりました。
KGXの設立目的は明確です。中小企業がGXを「経営の打ち手」として実装するうえで直面する課題──制度対応・補助金活用・取引先要請対応・人材確保──を、専門家ネットワークで一気通貫に支援する。万博で描いた世界観を、現場の経営判断に翻訳する装置として機能させる。それがKGXです。
KGXを設立した直後から、「現場支援だけでは届かない経営者が全国に膨大にいる」という現実に直面しました。関西の協議会というハブだけでは、日本全国の中堅・中小企業経営者には届かない。全国規模で経営判断者に届けるメディアが必要だと判断しました。
2026年、GX Times Labを創刊。創刊編集長として、編集方針の統括から記事の編集まで一貫して担っています。発行・運営は私が代表を務めるUWP、専門監修はKGX。この三層構造は、わずか一年で独力にて築き上げました。
「GXを環境論ではなく経営合理性の問題として翻訳する」というビジョンへの強い確信です。万博・社団法人・全国媒体は、それぞれ独立した装置に見えますが、私の中では一つの目的に向かって設計された連動する三層です。
万博で世界観を提示し、KGXで実装を支援し、GX Times Labで経営判断に届ける。この三層が連動することで、初めて中小企業のGXは「経営の打ち手」として動き始める。一年で構築できたのは、最初からこの設計図が見えていたからだと思います。
全国の中堅・中小企業経営者へ――脱炭素は競争優位の起点になる
2026年の今、中堅・中小企業の経営者が直面しているGXの課題は、もはや「環境に配慮するかどうか」のフェーズを越えています。GX-ETS、SSBJ、CBAM、取引先のScope3要請──これらは「やらない選択肢」が消えた領域です。問題は「やるかやらないか」ではなく、「どう経営の打ち手に変換するか」です。
ここで言いたいのは、脱炭素は単なるコスト負担ではなく、競争優位の起点になり得るということです。補助金を活用して投資回収を設計する、取引先要請に先回りして取引機会を広げる、金融機関への開示で資金調達を有利にする──こうした打ち手はすべて、P/Lにポジティブな数字として返ってきます。
その通りです。多くの経営判断者は、GXに対して「動けない理由」をいくつも抱えています。「コストが見えない」「ROIが分からない」「自社の業界には関係ない」「補助金は使えない」──これらの”動けない理由”を、GX Times Labは一つずつ記事として解体していきます。
私が代表を務める株式会社 Unlimited Work Placeでは、GXブランディング・GXマーケティングのコンサルティングを通じて、企業がGXを経営の打ち手として実装する支援を提供しています。一般社団法人 関西GX推進協議会(KGX)では、産官学連携のハブとして専門家ネットワークを開放しています。そしてGX Times Labでは、全国の経営判断者に届く形で実装知を発信しています。
GXは環境論ではなく、コスト・競争力・資金調達というP/Lの問題である。この一点を握り直したとき、経営判断者は動き始めます。GX Times Labは、その動き出しを支援するメディアとして、これからも全力で記事を届けていきます。
※本記事の内容は2026年5月時点の情報です。
取材・編集:GX Times Lab 編集部