GX用語解説:SASB
SASBとは
SASB(Sustainability Accounting Standards Board、サステナビリティ会計基準審議会)とは、業種別にサステナビリティ情報の開示基準を策定してきた米国の非営利団体、およびその開示基準の名称です。財務的な重要性(投資家の意思決定に影響する情報)に焦点を当て、77業種ごとに異なる開示指標を定めている点が特徴です。
結論から言えば、SASBは「業種によって重要な環境・社会課題は違う」という前提に立った開示基準です。2021年にVRF(Value Reporting Foundation)に統合され、2022年にはVRFごとISSBに統合されており、現在はISSB基準の一部としてSASBスタンダードが引き継がれています。
この記事の要点
実務での使われ方
投資家からサステナビリティ情報の開示を求められる企業にとって、SASBスタンダードは「自社の業種で本当に重要な指標は何か」を特定する手がかりになります。全業種一律の指標ではなく、業種特有の重要課題(製造業ならエネルギー管理、金融業なら気候リスクの与信管理など)に絞って開示できる点が実務上の利点です。
統合後のISSB基準では、SASBの業種別指標がIFRS S2(気候関連開示基準)の適用ガイダンスとして活用されています。TCFD提言が示す大枠の開示項目に対し、SASBは業種別の具体的な指標を補う役割を担います。
詳細説明
「財務的重要性」への焦点
SASBの開示基準は、投資家の投資判断に影響を与える「財務的に重要な」サステナビリティ課題に焦点を当てる設計です。これは、企業活動が社会・環境に与える影響も含めて幅広く開示を求めるEUのESRS(ダブルマテリアリティの考え方)とは異なるアプローチです。
ISSBへの統合の経緯
SASBは2021年にIIRC(国際統合報告評議会)と統合してVRF(Value Reporting Foundation)となり、2022年にVRFがIFRS財団傘下のISSBに統合されました。これにより、SASBが培ってきた業種別の開示ノウハウは、ISSBが策定する国際基準の一部として引き継がれています。
中堅企業の最初の3歩
第一に、自社の業種に対応するSASBスタンダードの開示指標を確認します。第二に、それらの指標のうち、自社が既に把握しているデータと、新たに整備が必要なデータを整理します。第三に、IFRS S2など開示要請が具体化した際に備え、段階的にデータ収集体制を整えます。
SASB → VRF(2021年統合) → ISSB(2022年統合)
出典:IFRS財団
FAQ
Q1. SASBとは何ですか?
業種別にサステナビリティ情報の開示基準を策定してきた米国の団体、およびその開示基準です。77業種ごとに異なる開示指標を定めています。
Q2. 現在も使われている基準ですか?
はい。SASBは2022年にISSBへ統合され、現在はISSB基準の一部としてSASBスタンダードが業種別の適用ガイダンスとして活用されています。
Q3. ESRSとの違いは?
SASBは投資家の意思決定に影響する「財務的重要性」に焦点を当てます。EUのESRSは企業が社会・環境に与える影響も含むダブルマテリアリティが特徴です。
Q4. 中堅企業は何を確認すればよいですか?
自社の業種に対応するSASBスタンダードの開示指標を確認し、既存データと不足データを整理したうえで、段階的な収集体制を整えます。
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