GX用語解説:EUバッテリーパスポート
EUバッテリーパスポートとは
EUバッテリーパスポートとは、EUの新バッテリー規則に基づき、電池のライフサイクル全体(原材料の由来、製造、使用、リサイクル)に関する情報をデジタルで記録・開示することを義務づける制度です。リチウムイオン電池を含む一定規模以上の産業用・EV用電池が対象で、2027年からの本格適用が予定されています。
結論から言えば、EUバッテリーパスポートはCSDDDやEUDRと同じ流れにある、EUが主導する「トレーサビリティ義務化」の電池版です。原材料の採掘から廃棄・リサイクルまでのライフサイクル情報を、電池ごとにデジタルIDで追跡できるようにすることを目指しています。
この記事の要点
実務での使われ方
EVや産業機械にリチウムイオン電池を搭載し、EU市場で販売する企業にとって、EUバッテリーパスポートへの対応は避けて通れない課題になります。電池メーカーだけでなく、電池を組み込んだ製品を製造・輸出する企業も、原材料の由来やCO2排出量、リサイクル材の使用比率といった情報を追跡・開示できる体制が求められます。
日本企業のサプライチェーンにおいても、EU向けに電池搭載製品を輸出する場合、電池メーカーや部材サプライヤーに対して、原材料のトレーサビリティ情報の提供を求められる可能性があります。サステナブル調達の一環として、早期の情報整備が求められています。
詳細説明
記録される情報の内容
EUバッテリーパスポートには、電池の製造者情報、原材料(リチウム・コバルト・ニッケル等)の産地と含有量、製造過程のCO2排出量(カーボンフットプリント)、リサイクル材の使用比率、電池の性能・耐久性情報などが記録されます。これらの情報はデジタルIDを通じて、サプライチェーン関係者や消費者が確認できるようになります。
他のEU規制との関係
EUバッテリーパスポートは、CSDDD(人権・環境デューデリジェンス)やEUDR(森林破壊防止)と同様、EUが特定の製品分野でサプライチェーンのトレーサビリティを義務づける規制の一つです。対象こそ異なりますが、いずれも「原材料の由来を追跡できること」を市場参入の条件にする点で共通しています。
中堅企業の最初の3歩
第一に、自社製品がEUバッテリーパスポートの対象となる電池を搭載しているか、またはEU向けに輸出しているかを確認します。第二に、電池サプライヤーからの情報提供体制(原材料・CO2排出量等)を確認します。第三に、2027年の本格適用に向けて、必要な情報を段階的に整備します。
原材料の産地 / 製造時CO2排出量 / リサイクル材比率 / 性能情報
出典:欧州委員会(EUバッテリー規則)
FAQ
Q1. EUバッテリーパスポートとは何ですか?
EU新バッテリー規則に基づき、電池のライフサイクル情報をデジタルで記録・開示する制度です。2027年からの本格適用が予定されています。
Q2. どんな情報が記録されますか?
原材料の産地と含有量、製造時のCO2排出量、リサイクル材の使用比率、性能・耐久性情報などが記録されます。
Q3. CSDDDやEUDRとの関係は?
いずれもEUが主導するサプライチェーンのトレーサビリティ義務化規制で、対象分野が異なるだけで考え方は共通しています。
Q4. 中堅企業は何を確認すればよいですか?
自社製品が対象電池を搭載しEU向けに輸出しているかを確認し、電池サプライヤーからの情報提供体制を段階的に整備します。
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