GX用語解説:ISO 14068(脱炭素の国際規格)
ISO 14068とは
ISO 14068(正式にはISO 14068-1:2023)とは、組織や製品が「カーボンニュートラル」を達成し、その主張を行うための要件と指針を定めた国際規格です。国際標準化機構(ISO)が2023年11月に発行し、正式名称は「気候変動マネジメント−ネットゼロへの移行−第1部:カーボンニュートラリティ」です。
結論から言えば、ISO 14068は「カーボンニュートラルと名乗るための世界共通のルールブック」です。従来、英国規格のPAS 2060が事実上の基準として使われてきましたが、これを国際標準として置き換える位置づけにあります。グリーンウォッシュへの批判が強まるなか、根拠のあるカーボンニュートラル主張を示す物差しとして注目されています。
この記事の要点
- ISO 14068-1=カーボンニュートラルの達成と主張の要件を定めた国際規格(2023年発行)。
- 英国規格PAS 2060を国際標準として置き換える位置づけ。
- 「算定→削減→残余排出のオフセット→主張」の順序と、削減を優先する考え方を規定。
- 対象は組織・製品・サービスなど幅広い「サブジェクト」。
- 根拠ある主張の共通基準として、グリーンウォッシュ対策にもつながる。
実務での使われ方
「カーボンニュートラル」や「カーボンオフセット済み」といった表示は、根拠が曖昧だと消費者や取引先からの信頼を損ないます。ISO 14068は、こうした主張を第三者にも説明できる形で裏づけるための共通ルールを提供します。製品単位でカーボンニュートラルを訴求したい企業や、取引先・入札で環境主張の信頼性を求められる企業が、拠り所として参照します。
基礎となるのは温室効果ガスの算定です。GHGプロトコルに沿ってScope1・Scope2・Scope3を把握したうえで、削減とオフセットを組み合わせてカーボンニュートラルを目指す流れになります。
詳細説明
カーボンニュートラル達成の4ステップ
ISO 14068が求める基本的な流れは、①対象(バウンダリ)の設定、②GHGプロトコル等に基づく排出量の定量化、③自社での削減(削減を最優先)、④どうしても残る排出(残余排出)をカーボンオフセットで相殺、という4段階です。削減を尽くしたうえでオフセットは補完的に使う、という優先順位が明確に位置づけられています。
ネットゼロへの移行という位置づけ
規格の正式名称に「ネットゼロへの移行」とあるとおり、ISO 14068はカーボンニュートラルを最終ゴールではなくネットゼロへ向かう過程の一里塚として扱います。オフセットに用いるカーボンクレジットには質が問われ、J-クレジットのような信頼性の高いクレジットの活用が想定されます。
中堅企業の最初の3歩
第一に、どの範囲(全社か、特定製品か)でカーボンニュートラルを主張したいかを決めます。第二に、その範囲の排出量を算定し、削減余地を洗い出します。第三に、削減計画を立てたうえで、残余分に充てるクレジットの種類と量を検討します。環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001を運用している企業は、その仕組みを土台に取り組みやすくなります。
算定 → 削減(最優先) → 残余をオフセット → 主張
出典:ISO 14068-1:2023
FAQ
Q1. ISO 14068とは何ですか?
組織や製品がカーボンニュートラルを達成し主張するための要件を定めた国際規格です。2023年に発行され、従来のPAS 2060を国際標準として置き換える位置づけです。
Q2. カーボンオフセットだけでは認められないのですか?
いいえ、まず自社での削減が最優先です。ISO 14068は削減を尽くしたうえで、残余排出を補完的にオフセットする順序を求めています。
Q3. ネットゼロとどう違いますか?
カーボンニュートラルはオフセットを含めて排出を実質ゼロにする状態、ネットゼロはより長期の到達目標です。ISO 14068はネットゼロへの移行過程を扱います。
Q4. 中堅企業は何から始めればよいですか?
主張したい範囲を決め、その排出量を算定し、削減計画を立てたうえで残余分のクレジットを検討します。ISO14001の運用があると着手しやすくなります。
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