GX用語解説:パリ協定6条
パリ協定6条とは
パリ協定6条とは、国どうしが排出削減の成果を国際的に移転・取引できる「市場メカニズム」を規定した、パリ協定の条項です。ある国で生まれた追加的な排出削減・吸収の成果を、他国が自国の削減目標の達成に活用できる仕組みを定めており、京都議定書のクリーン開発メカニズム(CDM)の後継にあたる国際的な炭素市場のルールとして位置づけられます。
結論から言えば、パリ協定6条は「国境を越えたカーボンクレジットの正式なルールブック」です。企業が活用するボランタリー市場のクレジットとは別に、国同士が公式に排出削減成果をやり取りする仕組みとして、2021年のCOP26で詳細ルールが合意されました。
この記事の要点
- パリ協定6条=国どうしが削減成果を国際移転・取引できる市場メカニズムを規定する条項。
- 京都議定書のCDM(クリーン開発メカニズム)の後継にあたる仕組み。
- 2021年のCOP26で実施の詳細ルールが合意された。
- 6条2項は国家間の直接移転(ITMO)、6条4項は国連監督下の市場メカニズムを規定。
- 日本のJCM(二国間クレジット制度)も6条の枠組みと関連づけられている。
実務での使われ方
パリ協定6条そのものは国家間の制度ですが、その仕組みを通じて生まれるクレジットは、企業のカーボンニュートラル目標達成にも活用され得るものとして注目されています。国連監督下のクレジット(PACM)は、Verraのような民間認証とは異なる、国連のお墨付きを持つ市場としての信頼性が期待されています。
また、日本企業にとっては、日本政府が途上国と結ぶJCMを通じて生まれるクレジットが、パリ協定6条の枠組みと接続する形で活用される見通しであり、海外展開する企業の脱炭素技術移転とも関連が深いテーマです。
詳細説明
6条2項と6条4項の違い
パリ協定6条は複数の項で構成されますが、実務上特に重要なのが6条2項と6条4項です。6条2項は、国どうしが二国間・多国間で削減成果(ITMO=国際的に移転される緩和成果)を直接やり取りする枠組みで、日本のJCMもこの枠組みと関連します。6条4項は、国連が監督する市場メカニズム(PACM)を新設し、京都議定書のCDMに代わる仕組みとして機能します。
二重計上の防止
国際的なクレジット移転で懸念されるのが、同じ削減量を移転元と移転先の両方が自国の目標達成に使ってしまう「二重計上」です。パリ協定6条は、削減成果を移転する際に「相応の調整(コレスポンディング・アジャストメント)」という会計処理を行うことで、この二重計上を防ぐルールを定めています。
中堅企業の最初の3歩
第一に、自社の海外事業やサプライチェーンが、JCMのような二国間クレジット制度の対象国・技術分野に関わるかを確認します。第二に、国連監督下のクレジット(PACM)と民間認証クレジットの違いを理解します。第三に、将来的なクレジット活用を見据え、パリ協定6条関連の制度動向を継続的に把握します。
6条2項=国家間の直接移転(ITMO) / 6条4項=国連監督の市場メカニズム(PACM)
出典:UNFCCC(パリ協定6条)
FAQ
Q1. パリ協定6条とは何ですか?
国どうしが排出削減の成果を国際的に移転・取引できる市場メカニズムを規定した条項です。京都議定書のCDMの後継にあたります。
Q2. 6条2項と6条4項の違いは?
6条2項は国家間で削減成果を直接やり取りする枠組み、6条4項は国連が監督する市場メカニズムを新設する枠組みです。
Q3. なぜ二重計上が問題になるのですか?
同じ削減量を移転元と移転先の両方が自国の目標達成に使うと、世界全体の削減効果が過大評価されるためです。相応の調整で防止されます。
Q4. 企業にどう関係しますか?
直接の当事者は国ですが、JCMのような制度を通じて企業の脱炭素技術移転や将来のクレジット活用に関わる可能性があります。
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