GX用語解説:ボランタリー市場(VCM)
ボランタリー市場(VCM)とは
ボランタリー市場(Voluntary Carbon Market、VCM)とは、法規制による義務ではなく、企業が自主的にカーボンニュートラル目標の達成などのために、カーボンクレジットを購入・活用する市場です。EU-ETSのように法令で参加が義務づけられる「コンプライアンス市場」と対をなす概念で、Verra(VCS)やJ-クレジットなど、様々な認証機関が発行するクレジットが取引されます。
結論から言えば、ボランタリー市場は企業の「自主性」に支えられた市場です。義務ではないからこそ、企業が本気で脱炭素に取り組む姿勢を示す手段にもなりますが、同時にクレジットの品質や主張の妥当性が問われやすく、ICVCMのような品質基準の整備が進められています。
この記事の要点
- ボランタリー市場(VCM)=企業が自主的にカーボンクレジットを活用する市場。
- 法令で参加が義務づけられる「コンプライアンス市場」と対をなす概念。
- Verra(VCS)やJ-クレジットなど、多様な認証機関のクレジットが取引される。
- 自主的な取組みであるがゆえに、クレジットの品質や主張の妥当性が問われやすい。
- ICVCMの品質基準が市場の信頼性向上に寄与している。
実務での使われ方
削減努力を尽くしてもなお残る排出量(残余排出)をオフセットし、カーボンニュートラルを主張したい企業は、ボランタリー市場でカーボンクレジットを購入します。国内向けにはJ-クレジット、国際的な活動にはVerra(VCS)など、目的や地域性に応じて選択肢を使い分けます。
ただし、削減努力を尽くさずにクレジット購入だけでカーボンニュートラルを主張することはグリーンウォッシュとの批判を招くリスクがあります。ISO 14068が示すように、まず削減を優先し、残余排出のみをオフセットするという順序を守ることが、市場を適切に活用する前提になります。
詳細説明
コンプライアンス市場との違い
コンプライアンス市場は、EU-ETSやGX-ETSのように、法規制に基づき企業に参加や排出枠の遵守が義務づけられる市場です。これに対しボランタリー市場は、参加も購入も企業の任意判断に委ねられており、規模や成長のペースも規制動向より企業の自主的な意欲に左右されます。
市場の課題と改善の動き
ボランタリー市場は、クレジットのアディショナリティ(追加性)や削減効果の算定方法を巡って、過去に品質への懸念が指摘されてきました。これに対応する形で、ICVCMによるコアカーボン原則の策定など、市場全体の信頼性を高める取組みが進められています。
中堅企業の最初の3歩
第一に、自社の削減努力(Scope1・2・3の削減)を優先し、ボランタリー市場の活用は残余排出への対応として位置づけます。第二に、クレジットの品質(ICVCMの基準等)を確認して選定します。第三に、対外的な主張はISO 14068等の考え方に沿って、根拠を示せる形で行います。
コンプライアンス市場(法規制で義務化) / ボランタリー市場(自主的参加)
出典:ICVCM
FAQ
Q1. ボランタリー市場(VCM)とは何ですか?
企業が自主的にカーボンクレジットを購入・活用する市場です。法令で参加が義務づけられるコンプライアンス市場とは異なります。
Q2. コンプライアンス市場との違いは?
コンプライアンス市場は法規制に基づき参加や遵守が義務づけられますが、ボランタリー市場は参加も購入も企業の任意判断です。
Q3. どんな課題がありますか?
クレジットの追加性や削減効果の算定を巡って品質への懸念が指摘されてきました。ICVCM等による品質基準の整備が進められています。
Q4. 中堅企業はどう活用すればよいですか?
自社の削減努力を優先し、残余排出への対応としてクレジットを活用します。品質基準を確認し、根拠を示せる形で対外的に主張します。
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